2017年時点でのゲームエンジンの比較

古くからゲーム開発をしている企業や団体の場合、中小規模のチームであっても自社製エンジンを開発して保持している場合が多いかと思います。
なぜなら、すこし前までは、性能面・ライセンス面において、製品開発に足るようなゲームエンジンが広く公開されていなかったからです。
MUTATE Softwareにおいても例外ではなく、DirectX5時代に開発したエンジンを20年近くアップデートしながら使っています。D3DRMを使わずかつD3DXが出来る以前の物であるため、幸運にもD3DRMやD3DX廃止などの影響もなく現行OSでも動作し続けておりますが、設計の古さは否めません。

近年の3D技術の進歩は目覚ましいものがあり、この進歩に追いつくように、自力のみでエンジンを更新し続けるのは困難になりつつあります。
このため、多くのタイトルが、汎用ゲームエンジンを使って開発される方向に向かっており、自社エンジンを開発できる大手メーカーであっても、汎用エンジンないし、そのカスタマイズ版を使用する流れに向かっています。

このような事情から筆者は「自社エンジンのリプレース」という視点で導入を行なっておりますが、本記事ではそうではない読者にも分かるように説明を行ないます。しかし、3Dにおける基礎知識やツールの使い方等は説明しません。不明な用語はネット検索して下さい。

エンジン選択の論点

機能が多いvs機能が少ない

一般的にいえば、ライブラリは機能が多いほど良い。しかし、3D開発において、多機能は互換性の低さとのトレードオフである。
この互換性の意味するところは、「OSやDirectXが更新された際の互換性」「性能の低いGPUでも実用になるか」などのことを意味する。
機能の少ないエンジンほど不具合調査の労力も少なくなるし、改造も容易であるため、多機能エンジンを出し抜くような技法を独自に導入する、といった方法で、一見して多機能エンジンを超えるようなことを実現できる可能性はある。
作ろうとしているコンテンツの内容を考えて、適した物を選ぶ必要がある。

完全フリーvsライセンス料

IrrlichtとOgre3Dは完全フリー(非GPL)である一方、UE4やUnityには売上規模に応じたライセンス料が必要。
Unityはソースコード非公開である一方、UE4はフリーエンジンと同様のソースコードアクセスが可能。
どちらが良いのかは、ケースバイケースとしか言い様がない。
IrrlichtやOgre3Dの場合、改造自由であるし、派生版のSourceForgeプロジェクトを勝手に作って「分家」してみたり、極端な話、派生版を独自製品として有償販売することすら可能である。
つまり、IrrlichtやOgre3Dのために書いたコードを、純然たる自分の「資産」とできる。
(多くの人は広く公の資産とすると思うが)
その代わり、コミュニティを含めてサポートはあまり期待できない。有償サポートは存在しない。新しい自社製エンジンのつもりで育てていく必要がある。

一方、UE4の場合、サポート料を払えばEpic Gamesのサポートが受けられる。ライセンス料も低く設定されている。ただし、例え無償ライセンスであっても、ライセンスは「許諾」される物であるため、Epic Gamesの意向に合わない物を作成した場合に差し止められる可能性は残されている。当初想定されなかったような非ゲームなどの用途、いわゆるアダルトな物、政治的メッセージを含む物等がそれにあたり、突如アダルト禁止宣言される可能性など、権利範囲の不安定さは否めない。(そういう例はXNA、Vocaloidなど枚挙にいとまがない)
まさに一長一短である。

おおよその選択の指針は下記のようなものと考えられる。

各エンジンの比較検討

2017年時点ではUnreal Engine, Unityを筆頭に、多くのエンジンが公開されている。
今回、内製ゲームエンジンを置き換える目的で、使い易そうなものを検討した。


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